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Project

国内シェアNo1 連結会計システム DIVA

人工知能を実際にどのようにビジネスに取り入れていくのか? 〜 株式会社ディーバのユーザーサポート業務における自然言語処理の活用事例をもとに〜

国内シェアNo.1の連結会計システムを提供する株式会社ディーバでは、全社業務におけるユーザーサポート業務の割合が高く、サポート内容も連結会計の知識が必要なため高度な対応が要求されており、人材の育成コストが課題となっていました。

本プロジェクトでは、弊社の知見や技術を活かし、中長期的なAIによるサポートを見据え自然言語処理による支援ツールを弊社と共同で開発、業務効率化により3年で投資を回収する計画を立てました。実際にどのように自然言語処理を業務に導入していったのか、そのステップや成果についてお伺いしました。

 

プロジェクト概要

国内シェアNo.1の連結会計システム「DivaSystem」を提供する株式会社ディーバ(DIVA)社は、950社以上の連結システム導入・コンサルティング・決算業務アウトソーシング実績を持っています。同社では、コールセンター部門が抱えていたナレッジや知識平準化の課題を解決するため、自然言語処理や機械学習などの先端技術による解決方法を検討していました。まずは自社で保有する問い合わせ関連データを活用し、どのような業務効率化が可能かを検討するため、データ分析とそれに基づくネクストステップの検討をすべく、弊社とのプロジェクトを実施しました(データストラテジー株式会社 武田元彦・渡邉孝文の2名がコンサルティングを担当)。

 

(出演者)
株式会社ディーバ 取締役 カスタマーエンゲージメント本部長 寺島 鉄兵 様
株式会社ディーバ カスタマーエンゲージメント本部 アシスタントマネージャー 大久保 一樹 様
株式会社ディーバ カスタマーエンゲージメント本部 Muhammad Adriyanto 様
株式会社ディーバ カスタマーエンゲージメント本部 Erwin Surya 様
データストラテジー株式会社 代表取締役 武田 元彦
データストラテジー株式会社 取締役 竹中 野歩(モデレーター)

コールセンター部門が抱えていたナレッジや知識平準化の課題

— プロジェクトを始めた背景、抱えていた問題意識をお聞かせください。

大久保: 元々の背景としましては、弊社が取り組んでいる連結会計のソフトの保守部門のサポート業務に対して問題意識がありました。いわゆるコールセンターに近しい業務ではありますが、多くの業務知識が求められる仕事になります。今まで属人的に、熟練者を中心に行ってきましたが、それだけに頼って業務を回すのが難しくなりつつあり、ナレッジや知識の平準化が課題となっていました。

サポート業務は弊社の中で非常に重要な位置付けになります。ビジネスとしてサポートサービスをパートナーに任せる場合もあると思いますが、弊社は創業以来サポートサービスを継続的に行っているのが大きな特色で、事業のコアだと考えています。

その中で、カスタマーサポートを担う人材には多くの知識やスピートが求められ、高度なスキルを持った人材が必要になります。ある程度できるようになるのは1年半〜2年は必要だと思います。過去6年間のデータを見ると約2,000件の対応を経験すると業務を1人でこなせるようになってきます。

コールセンターのように、マニュアルがあって、SVと担当者が別れていて、1週間研修してできるということはありません。どうしても時間とコストがかかってしまいます。

定型的な部分はなるべく技術で対応し、サポートをより魅力的な提案ができるように業務構造を変えていくことで、スタッフの定着や高度なサポートだけでなく、新しいサービスや事業開発に繋がると考えていました。

その流れの中で人工知能やテクノロジーが、どこまで問い合わせ業務に活用できるかを検討して来ました。お客様からの問い合わせに対して、人工知能が回答をアシストしてくれるようなイメージです。

その中でベンダーやコンサルタントの方に話を伺っていました。

 

株式会社ディーバ 大久保様

 

既存のパッケージで当てはまるものものが見つからなかった

— では、どのような会社に話を聞いてきたのでしょうか?

大久保: やりたいものイメージはありました。そのためのアプローチがいくつかあって、完成されたパッケージ、独自のシステムを用意する、その中間、などの可能性を模索していました。

しかしながらイメージに近いパッケージはありませんでした。もともと完璧な解決策は無いと思っていましたが、70%くらいも解決してくれる解決策すらありませんでした。弊社の問題意識が弊社独自のものなの分かりませんが、なかなか見つかりませんでした。

AIやIoTに強いシステム会社、もしくはソフトウェアをベースにして新しい機能も作り込んでいけるソフトウェア+αの会社、ニーズに合わせて最適なものを組み合わせて提案できる会社を中心に探していきました。そこでデータストラテジー社に連絡しました。

 

打ち合わせで見えてきた方向性

武田: 最初の打ち合わせ後の印象として、お話を伺うと、やりたいことや大まかな方向性ははっきり持たれている印象を持ちました。具体的にどう分析してどう活用するかなど、設計がもう少し必要かなと思いましたが、大まかな方向性は明確になっていたので、その後も進めやすかったです。

大久保: 打ち合わせの中で印象的だったのは、「こういう技術なら実現できるのではないか?」とご説明いただけたことにより、実現のイメージがついたことです。他社の場合は商品の説明で良いことだけ言われたり、カッコ良い動画があったりするのですが、実際にどういう仕組みか説明できる人が少ないと思います。歴史がありますと言われても、仕組みが分からないので、具体的な技術を交えながらご説明いただけたのが良かったです。

お客様からの質問に対して、フォーマット化されたFAQが1,500件ほどありますが、多すぎました。年間で12,000件ほど問い合わせがありますが、1,500件から適切な1つの回答を見つけるのがほぼ不可能になります。それをどう実現するか。それは何かをカスタマイズするのではなく、1から作っていく方が早いと感じました。

 

データストラテジー株式会社 武田

 

武田: 今回のプロジェクトに限らず、こうした人工知能や機械学習、自然言語処理技術を導入する取り組みにおいて、データを触る前から「精度が8-9割出ます」と確約するのは無理だと思っています。精度がどれだけ出るかは蓋を開けて見ないとわからない。その意味で今回もチャレンジでした。ただ、これまでの経験として「実用に耐える精度が出る可能性は十分ある」とは思いました。

お話を伺っていると、ディーバ社には実現したいことのイメージはすでにあるだけでなく、ユーザーサポートが重要だという認識を強く持たれ、サポートに必要なデータも多く蓄積されている印象でした。FAQを1,500件も溜めておられる点も、プロジェクトを進めやすい要因になりました。 

 

データ分析や人工知能開発はまずやってみるという考え方が大切

武田: 弊社からは、自然言語処理技術を活用して、顧客からの問い合わせ内容に対してどのFAQが近いかを当てる手法を構築し、過去の問い合わせデータから実際に当ててみよう、というプロジェクトを提案させていただきました。

大久保: まず当たるか確認したかったという思いがあります。当たればラッキーというような思いです。当たらなければ、コンテンツ(FAQ自体の内容)の修正や、1,500件の内容や分類を見直す必要もあると考えました。

武田: プロジェクト開始後に実データを分析すると、専門用語が非常に多いという印象がありました。これは本プロジェクトのポイントだと思います。自然言語処理を活用する際に、分析対象データに含まれる単語をどれだけ理解できるかが重要になります。

問い合わせ内容には会計と自社システムの用語がたくさんあるので、それをどこまでカバーできるかに注力しました。ディーバ社の社内システムから単語を収集するなどの協力を頂きながら単語を集めて行きました。

技術的なアプローチ手法はほぼ当初イメージした通りに検討できました。しかし、実際の問い合わせ内容を見ると、問い合わせ内容の前半に重要な情報がある傾向も見られました。その点、細かい調整やチューニングは、分析しながら実施する必要がありました。

大久保: 結果として、最初の4ヶ月で、ある程度は当たっていると言える精度が出ました。外れるケースではコンテンツが不足しているケースも思いのほか存在し、FAQ自体を見直す必要もあると感じました。

 

精度を上げる鍵は、現場との協力やチーム体制の構築

武田: 精度検証において、推薦された結果のFAQを私が見ても、当たっているかどうかの判断できないことが多くありました。これはベテラン担当者に見て頂くしかないと、ディーバ社のベテランの方に推薦結果をチェックして頂きました。

大久保: 推薦されるFAQが適切か否かを判断するには、ある程度のスキルは必要になります。しかし担当者でも、問い合わせ内容と関連するFAQが一緒に表示されれば、解決する手がかりになります。今回はそれを補助するツールになります。

— お話を伺っていると、推薦結果のチェックなど、メンバーがワンチームになっている印象がありますがどのようなチーム体制になっていますか?

大久保: 私の他に数名おります。お客様向けのサポートサイト、社内のCRMシステムの運用メンバーも参加しており、さらに本件のプロジェクトマネージャー、インドネシア出身の新卒スタッフ2人(Erwin氏、Muhammad氏)も開発に入っています。それぞれ役割分担しながら進めています。

武田: 弊社も、ベストなチームを作るために自社でフルパッケージサービスを提供するのではなく、弊社しか出来ない領域に注力することを意識しています。ディーバ社の皆さまにも「この部分は自社でやった方が良い」ということにご理解を頂いたのは助かりました。

大久保: できれば、自社で自然言語処理まで実施出来ればと思っていました。全て内製化にこだわっていませんが、スピード感、UI、要件定義など色々な場面で、外部企業に依頼すると意図と違うものが出来たり、直すのにお金や時間がかかったりします。その点、データストラテジー社の場合はその場で打ち合わせをして、必要な分析内容を反映するなど、スムーズにできたのは良かったです。

 

スリム化だけでなく、コストを抑えてプロフィットをあげていく

大久保: 4ヶ月間の分析プロジェクトで一定の成果が出たので、これから本格的に業務への導入を進めて行きます。社内の目標があるので、それを達成できるかが重要になります。その内容が達成できれば事業的な効果が出るので、早期に達成させ、次の展開、次の展開というように新しい展開を考えて行きたいと思います。

 

— どういう数字を投資対効果として見られているのでしょうか?

大久保: 問い合わせの件数や問い合わせにかかる時間などです。推薦されたFAQの正答率や問い合わせにかかる時間を見ながら、3年間でどのくらいの投資回収につながるのか予想しています。直接P/Lにインパクトが出ます。

原価を落とし人員を減すのではなく、業務内容自体を変革し、積極的にサービスを提供できる人材に変えることが出来ると考えています。単なる業務スリム化ではなく、コストを抑えると同時にプロフィットも伸ばすイメージです。

全体的に人が足りていませんが、新規サービスへの需要が多くあります。貴重な人材を、積極的な新しい取り組みに充てたいと考えています。

新機能の導入や新製品の紹介、メンテナンスなど実施したい取り組みは幅広くあります。私の考えとしては、とにかく日本全体で無駄な業務を減らしたい。無駄な業務を減らして余力ができた人材が業務改善や提案ができるようにしていきたい、という思いがあります。ペインを減らして、ゲインに移行していくイメージです。

 

— 技術的な面からの今後の課題はどういった点でしょうか?

武田: まずは精度を上げることです。高い精度により、実際に時間削減に貢献しているかが一番重要なポイントです。そのための技術サポートが弊社の役割と認識しています。

そのためには、正解データをどう集めるかが重要です。この問い合わせに対してはこのFAQを推薦してほしいデータ、つまり正解データをいかに集めるかが重要になります。質の良いデータの蓄積は、自社の貴重な資産になります。

 

データ分析や人工知能技術をビジネスに検討されている企業へのアドバイス

— 最後に、他の会社や業種の会社が取り組む際に、ご意見やアドバイスを頂ければと思います。大久保様はいかがでしょうか。

 

ディーバ株式会社 大久保様 (右)

 

大久保: 人材の数や質だけに頼ったビジネスは限界があると思います。労働人口が減っていく中で、人材の奪い合いになります。その中でシステム、ITを活用して適切に人材配置できるかが重要だと思います。アルバイトの方をたくさん雇うようなコールセンターは持続可能ではないと思います。

仮に技術が発達し全て自動でFAQが応答できても、人の価値は残ると思います。お客さまに寄り添ってサポートできる人は、お客さんに指名されて、そばに伺ってお話ができる。よりそういったものが付加価値になると思います。

例えばですが、コンビニのボックスのようなところで、血を抜いたら健康診断の結果がわかるような世界になったとしても、医者は残ると思います。医学的な見地を持ちながら、患者と相談できる、そんな医者が求められると思います。単純に薬を出すだけの医者はいなくなるかもしれませんが。

そうした、技術が発達しても求められる人材をどう作れるかが勝負だと考えています。弊社のカスタマーサポートは、「お客様に接する」ので、「お客様との接点の中でどういったビジネスを作っていけるか」が重要になっていくと思います。

人の価値やお客様との接点に重きを置き、新しいサービスを作れるかが大切ではないでしょうか。

 

— ありがとうございます。今回のプロジェクトを社内で提案した、寺島様はいかがでしょうか。

 

ディーバ株式会社 寺島様

 

寺島: 私は、何がやりたいか、何を目指したいか、どこの方向に向かいたいかを認識することが重要になると思います。まずビジョンがあるか。それを実現する中で、実現できない課題を明確にすることが大切だと思います。

だからこそ、何を解決したいかを明確に意識し、自分の言葉で語れるよう理解することが必要だと考えています。自分たちの課題をきちんと見つけられれば、答えが出せるようになっていくのだと思います。

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